はり絵画家 内田正泰さんの素敵な世界!
「光と風の詩(うた)」展へ行ってきました!
新潟県新発田市の蕗谷虹児(ふきやこうじ)記念館で開催されている
はり絵画家 内田正泰展に行ってきました。
生誕100年記念で昨年8月24日から10月24日までが前期、
10月30日から今月1月23日までが後期と
前期、後期で展示を入れ替えて開催されているものです。
昨年8月に新発田を訪れた際に偶然訪れて
その時の話はこちら:新潟良いとこ何度もおいで♫ 観光編3・新発田(しばた)城
この美術館のことも、内田正泰氏のことも初めて知りました。
その時に見たのが前期の【夏・秋編】でした。
日本の情緒的な風景を色鮮やかに表現した素敵な作品ばかりで、
はり絵でこんな素敵な表現ができるんだ!ととても感動したのを覚えています。
今回はその後期の【冬・春編】に行ってきました。
と言っても前期・後期と別れていたことはつい最近知って、
近く返さなければならないレンタカーがあるうちに、と急遽行ってきた次第です。
蕗谷虹児記念館へ
蕗谷虹児記念館は新発田市の中心部にある
新発田市出身の画家、蕗谷虹児を記念した美術館です。
蕗谷虹児は明治31年(1898年)新発田市に生まれました。
大正元年(1912年)、14歳で同じく新潟出身の画家、小竹竹坡の内弟子になり上京。
大正8年(1919年)、21歳の時に樺太から帰郷し、
竹久夢二の紹介で「少女画報」に夢じの筆名で挿絵を描いてデビュー。
2年後の23歳の時に、朝日新聞の連載小説の挿絵に抜擢され、
数々の雑誌の表紙や口絵を描き人気を得ていきます。
大正14年(1925年)にはパリに留学し、帰国してからもモダンな画風で人気を得ていました。
詩歌集も多く発表していて詩人でもあります。
♪金蘭どんすの帯しめながら 花嫁御寮はなぜ泣くのだろう♪
花嫁人形の作詞も氏に寄るもの。
こちらが美術館で唯一写真OKな蕗谷虹児の代表作、花嫁。
切手にもなっています。
はり絵画家 内田正泰の素敵な世界
内田正泰氏は大正11年(1922年)神奈川県横須賀生まれ。
昭和19年(1944年)に横浜高等工業学校、現在の横浜国立大学を卒業して
食品会社のデザイン部で働いていたそうです。
展示の年譜で初の貼り絵の個展を開いたのは50歳を過ぎてから、
と知ってとても勇気をもらいました。
永谷園のお吸い物のパッケージなども製作していたとのことで、
デザインの仕事で貼り絵をされていたとはいえ、
はり絵画家としての活動はそんなに遅かったのですね。
それから2019年に97歳で亡くなるまで
日本の大自然を師と仰いで
精力的に作品を作られていたようです。
冬&春の組み合わせがいい!
後期の今回は冬・春編。
それぞれの季節に添えられた氏の言葉。
「冬―季節の原点とも言える冬、
厳しさの中に威厳がある冬は
大人の世界だと思う。」
「春―風に優しさを感じ
冬枯の色の底に緑を感じ
遠くの山々が霞んで来る
春は、はじめがいい」
4つの季節を2つに分けるとき、
春&夏、秋&冬という組み合わせになることが多いですが、
今回のこの「冬と春」の組み合わせってとてもいいなと思いました。
秋&冬の組み合わせだと暗くなりがちな印象がありますが
冬&春だと明るく楽しみ気持ちで受け入れられる、というか。
画材と展示されたスケッチが秀逸!
こじんまりとした一室の館内に
デザイン時代の作品から使用していた画材やノートまで
とても興味深い展示がされています。
作品も素晴らしいですが、氏の残したスケッチが素晴らしいです。
写真で説明できないのが残念ですが
こんな小さな紙面にこんな素敵なスケッチができるんだと感動しました。
スケッチというよりももはや作品、でした。
こうしたしっかりした描画のスキルがあるからこそ
はり絵というデフォルメの世界で
数々の素晴らしい作品を生み出せるのだということを
目の当たりにした感じです。
買ってきた絵はがきから
夏 「夏休み」
これは昨年最初に見た時に一番好きだった作品です。
こんな夏を過ごした思い出が蘇るのと、
母を思い出し、そして娘のことを思い出します。
秋 「風のみち」
いつか見た美しい夕焼けを思い出す、
そして焚き火の匂いがしてきそうなノスタルジックな作品。
茅葺き屋根とかはり絵でこんな表現ができるのが驚きです。
秋 「秋雨の翌朝」
展示のフライヤーにもなっている作品。
秋雨で道一杯に敷き詰められた銀杏の黄色がただただ美しく、
その上を歩くしっとりとした足の感触まで思い出されるような作品。
春 「春こみち」
ただただ早く春になってこんな景色が見てみたい、
頬にまだ少し冷たい春の風を感じるような作品。
桜の色の表現も絶妙です。
春 「春だネー」
桜も満開、お天気も良くて長閑な光景に洗濯物も風で揺れています。
お昼に家に帰ろうとしているのでしょうか。
道端にも黄色い花が咲いて、ほんと、田舎の春ってまさにこんな感じ、
と思わせてくれる作品。
タイトルの「春だネー」も気に入りました。
まさに展覧会のタイトル「光と風の詩」に表現されているように
どの作品にも光と風が感じられるノスタルジックな作品ばかり。
まとめ
新発田市の蕗谷虹児記念館ではり絵画家 内田正泰展を見てきました。
去年の夏の前期に続いて後期の展示です。
日本の四季を独特の技法によるはり絵という手段で
美しくノスタルジックに表現した素晴らしい作品ばかり。
ひと目見た時から大好きになりました。
同時展示のスケッチも秀逸です。
鎌倉に内田正泰記念アートギャラリーがあるそうなので、
そちらにもいつかぜひ行ってみたいと思います。
そして今回再確認したことがありました。
会場では氏の制作活動の様子などのビデオが流れているのですが、
私の亡くなった父に似てる。
それもあってしばしビデオに見入ってしまいました。