全国シェア99%!1万分の1ミリの金沢金箔・製造工程がすごい!
金沢ぶらり散歩ひとり旅2日目!も気の向くまま、足の向くまま
1ヶ月前に忘れた傘を口実に、また金沢にやってきました。
前回の3時間滞在で、もっと歩いてみたい!というのが本当の理由です。
朝新潟をバスで出発、お昼の12時半過ぎに金沢に到着しました。
初日は特に決まった計画はなく、自由気ままに街をぶらり散歩。
その様子はこちら:忘れ物を口実に再び金沢へ、ぶらり散歩のひとり旅!
美味しいお寿司や居酒屋さん、そして前田利家公ゆかりの神社や人間国宝の工芸作品に出会いました。
2日目も県立美術館に行きたいと思っている程度で、特に決まった計画はしていません。
気の向くまま、足の向くまま、街を歩いてみようと思います。
この日は朝からあいにくの雨。
昨日、傘を取りに行けばよかった!
国立工芸館に忘れてきた傘を昨日取りに行かなかったのをちょっと後悔しました。
ホテルでビニール傘を借りて出発です。
前の日に観光案内所でもらったこの冊子をもらってきました。
工芸を主軸にした観光案内の情報が掲載されています。
この地図を見て近江町市場から東山方面に歩くことにしました。
近江町市場のことはまた書くとして、
途中、素敵な陶器のお店を眺めながら東山界隈に到着。
このお店もとても素敵でした。
偶然入った「金沢市立安江金箔工芸館」が凄かった!
金沢市立安江金箔工芸館に入ったのは、本当に偶然でした。
朝から降っていた雨がさらに強くなり、そして風も結構吹いていました。
ホテルで借りたビニール傘が何度もひっくり返って、半分壊れたような状態に。
新しい傘を買おうと思ってコンビニを探していたのですが、あるはずのコンビニがない。
ちょっと心が折れかかった時に通りかかったのがこの工芸館でした。
とりあえず雨宿り…と思って入館してみたら…、それがとても面白い工芸館だったのです。
最終形としての金箔は知っていますが、その製造工程のものすごい伝統技術があったとは!
そしてここの受付の方が素晴らしかったです。
受付の時に傘が壊れたので近くのコンビニと、次に行きたい県立美術館の位置を尋ねたのですが、
なんと館内見学中にプリントアウトして持ってきてくださったのです。
そのお気持ちが嬉しくて、感激してしまいました。
今回のこの旅が思い出深いものになったのも、こういう方との出会いのおかげ。
旅の印象は人ですね!
金沢市立安江金箔工芸館はこちら:https://www.kanazawa-museum.jp/kinpaku/
金沢の金箔のここがすごい!
日本の文化財を支える「縁付金箔!2020年12月にユネスコ世界文化遺産に!
箔打ち紙に手漉き和紙を用いてつくられる「縁付金箔(えんつけきんぱく)」は、国宝や重要文化財などの修復に欠くことのできない技の文化財として、2014年に国の選定保存技術に認定されました。
同じく国の選定保存技術である17分野の職人が継承する「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」のひとつとして、「縁付金箔」は2020年12月、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。
国宝修復に欠かせない!稀少な製造技術、縁付製法!
400年以上前から存在し、今では金沢でのみつくられている製法です。
手漉きの和紙を箔打ち紙に用いる箔の製法で、手打ちから機械打ちになったほかは、金沢箔の歴史において変わらない伝統の技です。
その技術は、後継者不足に加え、原材料や道具などの確保なども困難となってきた今、年々生産量も職人の数も減少の一途をたどっているのが現状だそうです。
日本の金箔の99%を生産する産地・金沢!
金沢は、日本の金箔の99%を生産しています。
製法によって金箔は大きく2種類に分けられます。ひとつはこのたび、ユネスコ無形文化遺産に登録された「縁付金箔(伝統金箔・縁付)」の製法。
もうひとつは、近代に開発され、世界各国でも作られている「断切(たちきり)製法」による「現代金箔・断切(断切金箔)」。
効率的に量産できるため、近年では「現代金箔・断切」が主流となっているそうです。
金沢箔の歴史
金沢での金・銀箔の製造は、16世紀末藩祖前田利家が京都より職人を招聘して始まったとされています。
その後、 江戸幕府による製造の統制 (許可地域以外での製造禁止)がありましたが、藩の庇護の下、密かに製造が続けられたそうです。
明治になり、箔の統制がなくなり、金沢箔は品質・量とも大きく発展しました。
金沢箔はこのような歴史的要因と併せて、箔の製造に適した気温湿度を持ち、良質の水に恵まれていると云う風土的要因もあるといいます。
金沢箔は、仏壇・仏具、屏風、 西陣織、漆器、扇子、襖紙、水引、金文字、さらには建築、食品、化粧品等今日では多方面に使われていま す。
また、2020年には、縁付金箔製造 がユネスコ世界無形文化遺産に登録され、伝統技術の保護・継承の対象になり、 今後の国際社会における無形文化遺産の保護の取組に大きな貢献が期待されます。
1万分の1ミリメートルへの製造方法!
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金合わせ
溶解炉で金地金と少量の銀、銅の地金を1,300℃ぐらいの高熱で溶解し、定型の金合金を作ります。
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延べ金
定型されたインゴットをロール圧延機で約100分の5ミリの厚さまで圧延します。
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澄打ち工程 (3〜4回)
約6cm角に裁断された荒金を一枚ずつ特殊加工された和紙に挟み、澄打ち機でまんべんなく打ち延ばします。
更に和紙を変え同じ工程を数回繰り返して、約20cm角 厚さ1000分の1〜2ミリまで打ち延ばします。
出来上がったものを上澄と言います。
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澄の仕立て。澄の仕上がり
金箔を30枚ずつ束ね、箔打ち工程へ引き渡します。
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紙仕込み
1,800枚の箔打ち紙の原紙(雁皮紙・がんぴし:雁皮というジンチョウゲ科の落葉低木の皮で作られた紙)を藁灰汁・柿渋・卵白の混合液に浸したあと、水分を搾り取り、箔打値紙仕込み専用の打ち機で打ちたたき、1枚ずつほぐしを繰り返して、箔打ちを仕上げます。
この工程が金箔の品質を決定する一番重要な工程だそうです。
他の金箔製法と違った独特な仕込みだそうです。
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澄切り・引き入れ
20cm角の金澄を約12等分に切ります。
5で仕上がった箔打紙にカットされた金澄を挟み、1,800枚を1パックとして袋革に包みます。
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打ち前(箔打ち)
袋革に包まれた箔打紙を箔打機で約3分間打ち、15分間熱を冷ます作業を数十回繰り返して、厚さ10,000分の1ミリー1.2ミリまで打ち延ばします。
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箔移し・仕上がり
打ち上がった箔を板の上で、竹枠で規格サイズに1枚裁断し、間紙(切紙)に1枚ずつ挟み、100枚ごと糸でからげ、金箔の仕上がりです。
伝承された技術で製造された金箔で、このように間紙(切紙)の寸法が金箔を縁取るようにひと回り大きいことから「縁付」と呼ばれているそうです。
縁付箔は極めて薄くしなやかで、色艶に優れており、無形文化財の技術による作品制作や有形文化財の保存修理には欠くことのできない原材料となっています。
まとめ
偶然入った金沢市立安江金箔工芸館で、金沢の金箔の驚きの製造方法を知りました。
最終製品としての金箔しか知りませんでしたが、その製造に使う「紙仕込み」が金箔の品質を決定するのだそう。
その知恵と手間ひまと技術がすごすきます!
金箔がなければさまざまな日本文化財の修復もできないのだと、改めてその重要性に気がつきました。
偶然入った奇跡に感謝!