地球がうみだすキセキ!宝石を科学的視点で見てみる!
科学の視点から宝石を見ると、地球の凄さが見えてくる!
上野の東京都美術館でフェルメールを見た後、
フェルメール展はこちら:幻の天使が現れた!フェルメール「窓辺で手紙を読む女」
同じ上野の国立科学博物館で開催中の「宝石・地球がうみだすキセキ」展に行ってきました。
宝石の歴史は古く、古代から魔よけやお守りとして、あるいは地位や立場を示すシンボルとして世界中で用いられています。
宝石というと、どうしても装飾品としてのイメージばかり持っていました。
なので、特に前半の「原石の誕生」で宝石を科学の視点から見る展示はまさに目から鱗!
知らないことばかりでとても面白いです。
加えて、装飾品としての宝石の数々もまさに目の保養!
多種多様な宝石と、それを使った豪華絢爛なジュエリーが一堂に集まっているのも見応え満点です。
個人的な好みとして特に印象に残ったのはとても繊細なデザインが魅力的なティアラの数々でした。
またそれらの展示提供をしているアルビオン・アート・コレクションにとても興味を持ちました。
宝石展が国立科学博物館で展示されるという面白さ。
男性の見学者がとても多いという意外さ。
そして音声ガイドがカズレーザーさんという軽快さ。
どれをとってもものすごく魅力的な展示です。
宝石展はこちら:https://hoseki-ten.jp
国立科学博物館とは
上野の国立科学博物館は1877年設立の、国立では唯一の総合科学博物館です。
子供が小学校の頃、神戸から東京に来ると必ずと言っていいほど通っていました。
とにかく展示が素晴らしい。
そして子供たちが遊んで学べる仕組みも整っています。
大人が行っても楽しめる博物館です。
特に好きだったのは常設展・地球館のたくさんの動物の迫力ある剥製たちです。
今回は特別展だけに伺いましたが、常設展もまた見たくなりました。
外に展示されている大きなクジラが目印です。
国立科学博物館の常設展はこちら:https://www.kahaku.go.jp/exhibitions/permanent/index.html
宝石展!原石からジュエリーまで、5つの章で全てがわかる!
今回の特別展は誕生から豪華ジュエリーの展示まで、全部で5つの章からなっています。
第一章:原石の誕生
宝石の原石はその生い立ちによってさまざまな形状や大きさで算出されます。
原石はどのようにして誕生するのか、地球内部で作られる宝石の元となる原石を科学の視点から紹介しています。
宝石の原石は、地下深いところで誕生した好物です。
そこは地表より高温高圧の環境で、プレート運動などにより長い年月をかけてゆっくり動いています。
このため様々な化学反応や融解、そして結晶化が繰り返されます。
こうして様々な化学組成を持った鉱物が生まれます。
宝石になる鉱物がどのようにして作られるか、それを知る手がかりは宝石が含まれている母岩(岩石)にあるといいます。
母岩を調べると宝石ができる大まかな形成プロセス(起源)を推定することができるそうです。
4つのタイプの母岩が展示され、宝石が誕生するプロセスを紹介しています。
火成岩
熱水脈
ペグマタイト
変成岩
第二章:原石から宝石へ
採掘から加工技術まで、鉱物がどのような過程を経てジュエリーになるのかが展示されています。
橋本コレクションという、個人コレクターが国立西洋美術館に寄贈した約200点の指輪も公開されています。
ほとんどの宝石鉱山は、地球に露出した原石に気づくことで発見されているそうです。
その後、地下の鉱床を探査して、採算性を計算してから採掘の形態(露天掘りするのか、坑道堀りするのかなど)が決められるとか。
採掘物から良質な原石を選り分ける選鉱には専門知識と特殊技術が求められ、良い原石が得られただけでは良い宝石にはならないそうです。
整形と研磨の工程を「カット」といい、そのカットの出来栄えが原石の大きさや品質に劣らないほど宝石の評価を左右するのだそう。
宝石の特性を最大限に引き出し、良質部分だけを残して原石の大きさを活かしたカットをすることで宝石の価値が高まるといいます。
アメシストドーム
こちらはアメシスト(紫水晶)です。
熱水に溶け込んでいたシリカ(酸化ケイ素)が地下で析出した結晶がアメシストになります。
このように鉱物の結晶が岩盤内部の空間の内側を覆っているものを「ジオード」と呼ぶそうです。
アメシストのジオードの周りを囲む岩石は、鉄を含んだ玄武岩です。
水晶は本来無色ですが、その鉄をわずかに取り込むことでアメシストが紫に発色しているそうです。
宝石の代表的なカット
宝石の研磨面のことをファセットというそうです。
ファセットで囲まれた多面体に仕上げるのがファセットカット。
ファセットカットの中ではさらに、ローズカット、ブリオレットカット、パビリオンカットの種類があり、ダイアモンドのカットとして有名なラウンドブリリアンカットはパビリオンカットの
ファセットをつけないカットもあり、半透明から不透明な石や、硬度の低い石に用いられるそうです。
第三章:宝石の特性 宝石のバリエーション
宝石の価値の基準になる「輝き」「彩り」「煌めき」「強さ」について説明しています。
こちらは彩りの色相環を示したものです。
宝石の色は光の吸収によるもの。
科学が発達する以前は、青はサファイア、緑はエメラルド、黄色はトパーズと、宝石は色で分類されていたそうです。
しかし鉱物の色は常に一定ではないとのこと。
含まれる微量成分その他、微細な内包物や結晶構造の乱れによっても異なった色合いになることも。
宝石の色は多種多様で複雑なので、現在では色ではなく、化学成分や原子配列などに基づいた鉱物の分類に合わせるようになっているといいます。
第四章:ジュエリーの技巧
第四章と第五章は素晴らしいジュエリーの展示ですが、ここからは写真撮影はNGです。
フライヤーの写真から想像してください。
様々な宝石を組み合わせた美しくも可愛らしいジュエリーたちです。
第五章:宝石の極み
珠玉の芸術作品が60点、展示されています。
どれもため息もののジュエリーばかりですが、中でも魅了されたのがアルビオン・アート・コレクションのティアラの数々。
時代を感じさせない繊細なデザインのものが多くありました。
アルビオン・アート・コレクションについても初めて知り、とても興味が湧きました。
常設している美術館があるのでしょうか?
HPからはちょっとよくわかりませんでした。
アルビオンアートはこちら:https://www.albionart.com
まとめ
上野の国立科学博物館で開催中の宝石展へ行ってきました。
宝石を科学の視点から見るというとても斬新な切り口も、そして一堂に会した豪華ジュエリーの数々も、まさに原石から装飾品まで楽しめる素晴らしい展示です。
特にティアラの繊細な美しさに魅了されました。おすすめです。