この気品!上村松園の美人画の世界!
広尾の山種美術館に行ってきました!
股関節手術の定期検診で上京した最終日。
新宿の文化学園服飾博物館でモードの変遷をワクワクしながら楽しんだ後、
その話はこちら:モードへのときめき!いつの時代も変わらない!
初めて広尾の山種美術館に行ってきました。
山種美術館は日本初の日本画専門美術館です。
西洋美術、それも印象派や現代アート一辺倒だった私が日本画に興味を持つようになったのも、着物を着るようになってからと言っても過言ではありません。
母の遺した着物や帯を切り刻んで洋服やバッグにしようとしていた私に、着てみましょうよ!と誘ってくれたMさんには本当に感謝しかありません。
着物を着るようになって、興味は布や模様や歴史に広がって、それらが今回の日本画へと繋がりました。
昨年、きもの文化検定を受けたのも、一層着物の奥深さに魅了される一助となりました。
きもの文化検定の話はこちら:きもの文化検定2021 受けてきました
知れば知るほど広くて深い世界ですが、その中に身を任せて漂うのが楽しくて仕方ありません。
すべてを理解して覚えられるわけではないですが、何か1つでも新しい知識が得られる楽しさは格別です。
そして今年は今回の山種美術館のこの上村松園に加え、もう1つ楽しみな展覧会があります。
3月18日〜5月8日まで東京の国立近代美術館で開催中の「没後50年 鏑木清方展」です。
こちらもぜひ見てみたい美人画の数々!
5月27日〜7月10日までは京都にも巡回します。
特別展「上村松園・松篁 ー美人画と花鳥画の世界」
今回の展示は、一年間を通じ開催してきた山種美術館開館55周年記念の最後を飾る展覧会 だそうです。
山種美術館と縁の深い日本画家・上村松園 (1875-1949) と、 その長男で生誕 120年を迎える上村松篁 (1902-2001) に焦点を当てた特別展です。
上村松園は、生涯にわたり気品あふ れる女性像を描き、美人画の名手として知られる女性画家です。
江戸や明治の風俗、 和漢の古典に取材した美人画を描いて京都画壇で活躍しました。
1948年には女性として初めて文化勲章を受章しています。
山種美術館の創立者の山崎種二は、 松園と親しく交流しながら18点の作品を蒐集しています。
代表作《砧》《牡丹雪》 を含む屈指の松園コレクションとして知られます。
松園の長男・上村松篁は、 花鳥画を得意としました。
官展を中心に出品 を重ねたのち、 1948年には創造美術 (現・創画会)を結成し活躍します。
写実を基礎とする洗練された格調高い花鳥を描き続け、 京都画壇を牽引しました。
見どころ
松園の代表作《砧》 《牡丹雪》をはじめとする全18点、ならびに松篁の逸品 《白孔雀》 を含む全9点を初めて一挙公開するそうです!
それに加え
1松園、 松篁、 淳之の上村家三代の 作品を東京で観られる特別展!
2 京都で活躍した松園、 松篁、そして今も 京都画壇を牽引する淳之の作品を、一度 に東京で観られる貴重な機会!
3「西の松園、東の清方」 と称された鏑木清方 やその弟子・伊東深水、松篁と同時代に活躍した橋本明治らによる優品の数々も あわせてご紹介!
まさに必見の特別展です。
【開館55周年記念特別展】 上村松園・松篁 ―美人画と花鳥画の世界―はこちら:https://www.yamatane-museum.jp/exh/2022/shoen.html
上村松園・その生いたち
小さい時から絵が好きで好きでたまらなかったそうです。
この血は母方から伝わったものらしく、松園の母も絵心のある人だったとのこと。
父親は松園が生まれた年に亡くなり、母親が家業である茶舗を受け継ぎ、営んでいたそうです。
店舗があったのは京都でもつとも繁華な四条御幸町。
ここで一人の姉と共に、母の手一つで育てられたのだそうです。
お母さんは松園が絵を描くことに大変理解があったようです。
女手一つで葉茶屋を営みながら松園の好きな絵の道に進ませていて、松園が12歳の時には京都府画学校に入学、鈴木松年に師事しています
山種美術館について
山種証券[現SMBC日興証券]の創業者である山崎種二(1893-1983・)が個人で集めたコレクションをもとに、1966(昭和41)年7月、東京・日本橋兜町に日本初の日本画専門美術館として開館。
「絵は人柄である」という種二の信念のもと、横山大観(1868-1958)や上村松園(1875-1949)、川合玉堂(1873-1957)ら当時活躍していた画家と直接交流を深めながら作品を蒐集。
奥村土牛(1889-1990)のように、まださほど知名度は高くなくとも将来性があると信じた画家も支援したそうです。
「世の中のためになることをやったらどうか」という横山大観の言葉をきっかけとして、美術館を創設するに至ったとか。
二代目館長・山崎富治(1925-2014)とともに、旧安宅コレクションの速水御舟(1894-1935)作品を一括購入し、東山魁夷(1908-1999)らに作品制作を依頼するなど、さらなるコレクションの充実を図ったそうです。
若手日本画家を応援するために「山種美術館賞」を設立(1971年から1997年まで隔年で実施)。
受賞作品を買い上げ新たな才能の発掘と育成にも努め、こうして収蔵された作品は現在約1800点を数えるといいます。
1998(平成10)年、設備の老朽化に伴い、桜の名所である千鳥ヶ淵にほど近い千代田区三番町に仮移転。
2009年10月1日、渋谷区広尾に移転して新美術館がオープンしています。
絵はがきでめぐる松園の世界
生涯の作品に一貫としてあふれる透明感と気品。
女性そのものの美しさに加え、着物、髪型、髪飾り、着物や帯の模様、しぐさ、顔のパーツなど、どれをとっても見飽きることのない美しさに溢れています。
お土産に連れ帰った絵はがきを順不同でご紹介します。
牡丹雪
昭和19年69歳
大胆な構図、芯のある女性の美しさ、着物の色、質感までわかる素材の描写、配色、すべてに魅力されました。
娘
昭和17年67歳
この瞬間をとらえた面白さ!
重ね着したそれぞれの柄や素材にも目が行きます。
こんな針山使ってたのですね、面白い。
この作品のみ撮影が可能でした。
春芳
昭和15年65歳
どうやら私はこの着物の色に惹かれるみたいです。
梅の構図が効いてますね!
帯の縞、髪の装飾具、どれをとっても本当に素敵!
フライヤーの表紙にもなっている作品です。
夕べ
昭和10年60歳
何点かある簾シリーズがとても素敵でした。
細かな簾の描写にも驚きますが、簾越しの着物と、直接見える着物の鮮やかさが何とも言えず印象的です。
帯の草の柄と、足元の草の対比が面白い!
蛍
大正2年38歳
素敵な染の浴衣に横に結んだ帯が素敵です。
松園いわく
「蚊帳に美人というと聞くからに艶めかしい感じをおこさせるものですが、それを高尚にすらりと描いてみたいと思ったのが此図を企てた主眼でした(山種美術館の上村松園から)」
これは松園作品すべてに言えることですね!
新蛍(しんけい)
昭和4年54歳
着物や襦袢の色や模様、帯の結びや色、団扇すら素敵です。
この図の解説に、美人画で最も難しいのは「眉」とありました。
少しでも描き損なうととんだことになると。
尻下がりになればだらしなく、上にのぼればサムライのようになってしまうのだそう。
考えただけでも緊張する作業だとわかります。
カフェの和生菓子も素敵すぎる!
どの作品も素敵な上村松園の特別展ですが、展示とコラボしたカフェの和生菓子がこれまた素敵です。
こちらは「誰が袖」をイメージしたお菓子。
この上品な色が松園のイメージにぴったりです!
美味しくいただきました!
まとめ
上村松園の美人画の数々、堪能しました。
「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵こそ私の念願とするところのものである」という言葉が心に残りました。
必見です。