日本の伝統芸能展 第1章・歌舞伎 明治32年の動画や実際の衣装に感動!
上野の東京国立博物館に行ってきました!
上野の東京国立博物館で開催中の「体感!日本の伝統芸能」展を見に行ってきました。
展示以前に、その会場である国立博物館内の表慶館の美しさにすっかり魅了されてしまいました。
その話はこちら:東京国立博物館の優美な洋館・表慶館が素敵すぎる!
個人的には12月の伊勢、1月の鳥取、そして今回の表慶館と3ヶ月続いて片山東熊氏の建築物に出会ったことが驚きでした。
伊勢の旅はこちら:伊勢の旅・内宮参拝後…歩いて別宮めぐり
鳥取の旅はこちら:皇太子を迎えるために作られた!素敵な洋館・仁風閣
そんな素敵な表慶館で開催されている今回の日本の伝統芸能展。
2020年オリ・パラの年に開催される予定だったものがコロナで中止、それを今回一部リニューアルしての開催となっています。
テーマは5つのユネスコ無形文化遺産!
今回のテーマはユネスコの無形文化遺産にも登録されている以下の5つの伝統芸能です。
第一章・歌舞伎
第二章・文楽
第三章・能楽
第四章・組踊
第五章・雅楽
それぞれのテーマについて展示室があり、実際の舞台が再現されていたり、実際の公演で使用される衣装、小道具、楽器なども展示されています。
会場内は一部を除いて写真撮影もOKです。
ただ写真撮影禁止のマークがとても控えめで目立たないことがあるので要注意です。
「体感!日本の伝統芸能」展はこちら:https://tsumugu.yomiuri.co.jp/dentou2022/
第1章・歌舞伎
明治32年撮影の動画は映画フィルム初の重要文化財!
歌舞伎の始まりは、出雲のお国という女性が「かぶきもの」の姿を舞台で演じたのが始まりだと言われています。
「かぶきもの」とは江戸時代の初期の京都で、常軌を逸した振る舞いやファッションをする異端児のことです。
こうして呪術的な行為であった踊りが、芸能として鑑賞するものへと変化していきます。
お国から始まった歌舞伎は次第に男性の芸能になっていきます。
撮影は禁止されているのですが、日本人によって撮影された現存する最古の映画の動画を見ることができます。
明治32年(1899) 11月に東京歌舞伎座で上演された「紅葉狩(もみじがり)」を歌舞伎座の裏の芝居茶屋「梅林」前庭に仮設のステージを組んで撮影したものです。
配役は、明治期の名優、9代目市川團十郎と5代目尾上菊五郎。
撮影された映像を見て團十郎が「自分は60年間役者をしているが、自分の振りを自分で見たのはこれが初めてだ」と言ったそうです。
平成21年(2009)7月、映画フィルムとしては初めて重要文化財に指定されています。
国立映画アーカイブはこちら:https://www.nfaj.go.jp
「暫(しばらく)」の鎌倉権五郎景政の衣装
暫は、初代から四代目までの市川團十郎が初演した荒事芸を集め、七代目團十郎が制定した「歌舞伎十八番」 の一つ。
主人公の鎌倉権五郎は、悪人を成敗する正義の味方の超人的な力強さと、 前髪の少年らしい若々しさを備えた人物です。
「暫」の初演は、元禄時代の初代團十郎に遡りますが、現行の扮装は息子の二代目團十郎が完成させました。
素襖(すおう)は武士の正装で、袖の家紋を大きく白抜きにした素襖を特に大紋というそうです。
この大紋を柿色にし、市川家の家紋である「三升」を染め抜いたのが二代目の工夫です。
舞台では、大紋の袖につっかい棒を入れて ピンと張ってみせるなどの工夫をしているそうです。
「生写朝顔話」深雪
秋月家の息女深雪は、宇治川の蛍狩りで宮城阿曽次郎と恋に落ちますが、不幸なすれ違いの末、目を泣き潰し女芸人に。
この衣装は蛍狩りの場面のもの。
「助六由縁江戸桜」朝顔千平
「助六」の主人公、花川戸の助六に敵対する髭の意休の子分。
実は元禄時代に評判だった「朝顔煎餅」という菓子の名前をもじった役名で、「煎餅づくし」のせりふを言ったりしたそうです。
いわば「生きたコマーシャ ル」。
衣装は、朝顔の柄が大胆に、 着付けの前後全面に描かれ、柄の縁を金糸で縫い取った豪華なもの。
三枚目の役ながら、 綿入れに金黒斜段の衿がつき、奴の力強さも感じさせます。
「紅葉狩」更科姫
能の「紅葉狩』を歌舞伎舞踊に翻案した作品。
戸隠山中へ紅葉狩に行った平維茂(これもち)が、美しいお姫様の一行と出会いますが、それが実は鬼女だったというお話。
前半の更科姫は、緋綸子の振袖に共の着付けという、「赤姫」と呼ばれる姫役の典型的なあつらえ。
同じ赤でも、役によって文様が異なり、 この役では場面に因んだ紅葉の縫い取りをメインにしたデザインになっています。
「紅葉狩」平維茂
平維茂は平安時代後期の鎮守府将軍です。
平貞盛の15番目の子供だったので「余五(吾)将軍」と呼ばれたのだとか。
鬼女を退治する勇壮な武将ですが、風雅を愛でる心も厚く、貴族のような優美な姿で登場します。
衣装は藤色地に花の丸模様の狩衣、白の袴。
花の丸は、さまざまな種類の花を丸形にして散らしたもの。
衣装や大道具に使われる、歌舞伎独自の優れたデザインだそうです。
えりや
袖口のデザインにも注目。
「伽羅先代萩」正岡
「先代萩」は、仙台藩・伊達家のお家騒動を、室町時代の物語として描いた作品。
政岡は、幼ない藩主島千代君の乳人(乳母)で、お家横頼をたくらむ悪人たちから、女の身一つで若君を守る気丈な女性です。
黒地に金の竹と雀を刺繍したこの打掛は、 「竹の間の場」で政岡が着用するものだそう。
武家の中年女性にふさわしい豪華で格調高いものです。
竹に雀は伊達家の家紋から着想を得たもの すが、竹を雪持ちにしたところに、重圧を耐え忍ぶ政岡の心情が示されているそうです。
まとめ
東京国立博物館で開催中の「体感!日本の伝統芸能」展、第一章の歌舞伎の記録です。
映画フィルムとして初の重要文化財である明治32年撮影の動画は必見です。
数々の迫力の衣装を間近で見れるのも感動的でおすすめです。
第二章・文楽
第三章・能楽
第四章・組踊
第五章・雅楽