建具に特化した館内ツアーと組子作り!@旧齋藤家別邸
考えたことがなかったけど、建具ってなんだろう?
先日、旧齋藤家別邸に行ってきました。
旧齋藤家別邸の話はこちら:梅雨入りの新潟!旧齋藤家別邸のお庭がさらに美しい!
【建具職人による館内ツアー&組子づくり】
というツアーに参加してきました。
建具職人が館内の建具や組子について解説してくれるツアーで、
その後に組子づくりの体験もするというイベントです。
小さい頃は襖も障子も生活の中にあり身近でしたが、
あらためて建具のことを考えたことはありません。
最近、この旧齋藤家別邸をはじめ庭園とその家屋について学ぶ機会が多く、
建具についても学べる滅多にないチャンス。
午前中は麻の葉コース、午後は桐の葉コースということで、
予定のなかった午後に参加することにしました。
旧齋藤家別邸とは、
明治から大正期に北前船で財をなし、
その後新潟の3大財閥にまで数えられるようになった4代斉藤喜十郎氏の
客人を招くための別邸、つまり迎賓館です。
旧齋藤家別邸はこちら:http://saitouke.jp
建具職人の解説による館内ツアー!
下が今回のツアーのお知らせです。
□内容:建具職人・吉田新弥氏による新潟絵屋と当館で同時開催する組子細工の展覧会に併せ、
吉田氏が館内にある建具や組子を解説するツアーと組子づくり体験講座も開催します。
組子づくり体験では、各回それぞれで「麻の葉模様の組子細工」「桐の葉模様の組子細工」を制作します。
□日時:2023年7月8日(土)
①麻の葉コース:10時00分~11時30分 / ②桐の葉コース:14時00分~15時30分
□参加費:2,000円(別途観覧料が300円が必要)
□定員:各回12名(先着)
□講師:吉田新弥氏(吉田建具製作所3代目 / 一級建具技能士)
大広間に集まり、ツアーがスタートしました。
雨の旧齋藤家別邸はとても素敵です。
建具とは、
部屋の仕切りや外との仕切りに用いる、
開閉できる戸、障子、襖、窓などの総称だそうです。
旧齋藤家別邸の襖は、
内部が格子に組んであって外すことができ、
格子に紙を貼って建具の中に入れてあるのだそう。
2階大広間の欄間の話
欄間も建具の一つとされているそうです。
2階の大広間の欄間は、
花模様が浮き出て見えるように仕上げられていますが、
これは花形の形を後から組み入れたのか、
それとも一枚板を掘り出して作られているのか、
以前建具仲間の方とも議論があったとのこと。
吉田さんの見解では、
木目が模様のところも平らなところも同じところがいくつも見受けられることから、
一枚板を掘り出したものだろうとのこと。
ゆえん障子?って何だろう
吉田さんがサラッと使っていた言葉で気になったものがありました。
「ゆえん障子」
調べてみたらドンピシャでの回答は見つからなかったのですが、
どうやら障子の上の部分で開け閉めができるようになった小窓のような部分のことらしいです。
昔は灯火に油を使用したため、油の煙を出すための窓、
なので油煙なのだそう。
建具の世界って奥深い!
こんなサイトもありました:https://w-wallet.com/syouji4.html
その障子の組子(左右上下の枠)にも面取りがしてあって、
それは通常の3倍もの時間がかかるのだとか。
細かいところに贅をつくしているのですね。
雨戸のレール
雨戸のレールは普通は凹になっているのだそうですが、
こちらのレールは凸になっていて、水はけが良くなっているそうです。
その内側のガラス戸も全てを開けることができるので、
そのガラス戸全てを戸袋に収納することができます。
そうすることで見て欲しい景色をガラス戸全開で見る工夫がされています。
はめられたガラスは大正時代のゆがみのある貴重なもの。
毎日開け閉めする管理者の方々は大変だと思います。
1階大広間の欄間もすごい!
1階の欄間にもものすごい技が隠されています。
この欄間、ただでさえ「月」の字を崩した素敵なデザインになっていますが、
その月の字をよく見てみると
木と木の交わる部分が一方では上側になっているものが、
他方では下側になっているなど、
前後に入り組んだ複雑な作り方になっています。
またその全てに面取りがしてあり、ここにも細やかな技が光ります。
また、書院の欄間の透かし彫りについては
「すさまじい技術」と説明されていました。
これは面白い!組子作りで桐の葉!
ツアーの後に西の間で「組子作り」に挑戦しました。
午前の回は麻の葉、午後は桐の葉を作ります。
桐の葉の方が多少複雑なので、時間も多めに取ってくださったとか。
とても親切に、
完成図と、それぞれのパーツがすでに仕分けされていました。
まずは枠部分を組んで、
そこに上側からパーツを組んでいきます。
パーツを斜めに組んで、そこに残りの1本がピタッとはまった時の快感はたまりません。
下側の方が複雑、というかパーツが小さかったので時間がかかりました。
こういうのは大好きなので、比較的早く完成することができました。
しかし、この細かなパーツを規定の角度で切り出すのは大変な作業のはず。
それだからこそこうしてピタッとはめることができるのですから。
部屋に飾ってあった多面体の組子細工はどうやって作るのでしょうか。
まとめ
旧齋藤家別邸で開催の
「建具職人による館内ツアー&組子づくり」に参加しました。
館内のあらゆるところに、
パッと見ただけでは素通りしてしまうような建具の工夫がしてあり、
その細かい技の数々に驚くとともに、
今まで建具のことを何も知らなかったことを痛感しました。
建具の世界はとても深くて面白いことも知りました。
組子作りの体験もとても面白いものでした。
日本住宅のさまざまな技にますます興味が湧いてきます。