今も昔も小さなモノに胸キュン!「小さな道具の世界」展

金沢市立中村記念美術館

目次

今も昔も小さなモノに胸キュン!「小さな道具の世界」展

茶道具と工芸の美術館「金沢市立中村記念美術館」

金沢市立中村記念美術館

兼六園周辺文化の森の探索は続きます。

金沢県立能楽堂のあとは、散歩道に導かれるように中村記念美術館に行ってみました。

金沢市立中村記念美術館

ピンクのフライヤーが何とも可愛らしくて魅力的です。

中村記念美術館は、金沢市の中心地にありながら、本多の森の緑に囲まれた恵まれた自然環境の中にあります。

まさに茶道と美術に親しむ憩いの場として多くの人に愛されているそうです。

この美術館は金沢で酒造業を営む実業家で茶人の中村英俊氏(1908-1978)が設立した中村記念館が前身です。

英俊氏は昭和18年(1943)に表千家流の茶道に入門、茶道具の収集を始めました。

昭和40年(1965)に収集した美術品を寄贈して財団を設立。

中村家の住宅を展示棟として現在の場所に移築、改装したそうです。

翌昭和41年の5月に前身である中村記念館が開館しました。

その後昭和50年7月に所蔵品が金沢市に寄贈されます。

その時に金沢市立中村記念美術館となったそうです。

平成元年11月には市制100年を記念して新館が開館しました。

所蔵品は、茶道具、近世絵画、古九谷、加賀蒔絵など、中村栄俊氏収集の名品を核に、作家、所蔵家の方からの寄贈や市費による購入が加わり、現在、重要文化財5点、県指定文化財1点、市指定文化財8点をはじめ約1,200点を数えます。

これらを年4−6回の展示会で公開しています。

金沢市立中村記念美術館はこちら:https://www.kanazawa-museum.jp/nakamura/

中村英俊とは

金沢市立中村記念美術館

この美術館の生みの親である中村栄俊氏は、酒造業を営む中村家の長男として金沢に生まれました。

中村家の先祖は、越中砺波郡若林村(現在の砺波市)の出身と言われています。

中村家は、英俊の祖父の兄(仙助)が江戸末期に紙商兼酒屋を営んでいました。

金沢市立中村記念美術館

祖父(初代栄助)が、明治3年(1870)に旧元車町(現在の長土塀3丁目)にあった夫人の実家の酒蔵を買い取り、本格的な酒造業に乗り出したそうです。

英俊は、大学卒業後、実業に従事します。

金沢では商人の嗜みとして茶道が盛んでしたが、祖父は仕事一筋の人で、2代目英助である父もそれに倣いました。

しかし英俊は美術や茶道に関心があり、表千家の師匠について茶道の作法や所作を習ったと言います。

茶道具の収集も始めました。

金沢市立中村記念美術館

茶の湯について「私はお茶が好きである。作法は1年程した習わなかったが、作法の順序、仕草が全て合理的、能率的に運ばれることが非常に気に入ったのである」と述懐しているそうです。

また金沢市議会議員、金沢商工会議所会頭なども歴任し、金沢の政治、経済の発展にも寄与してきています。

昭和20年の敗戦を機に、日本の文化国家としての再建を願い、美術館設立の志を立てます。

その際、「美術品は一個人のものでなく国民の宝である」との信念から私財を投じて昭和41年(1966)5月5日に現在の美術館の母体となる中村記念館を開館させました。

「お茶とお香の小さな道具の世界」展

金沢市立中村記念美術館茶道や香道で手に取る道具といえば、茶碗や香炉。

お茶を飲む、また、香を聞くのに欠かせないこの二つの道具は、直に触れて鑑賞することができるので、掌で楽しむ道具です。

ほかにも、茶道具と香道具には、手に取って用いる小振りの道具がたくさんあります。

枕草子でも「何も何も、小さきものは、みなうつくし」とあり、清少納言はあどけない幼子の姿や仕草、ぴょんぴょんと跳ねる小雀、人形遊びの道具、蓮や葵の小さな葉など、小さいものは何もかもが可愛らしいと讃えています。
この企画展では、茶入、棗、蓋置、香合などの手のひらに乗るサイズの茶道具と、香箪笥や香包など小さいながらも華麗な装飾をほどこされた香道具を特集しています。

小さくて可愛らしい道具の数々、ときめきます!

色絵菊桐文茶器(野々村仁清)江戸時代

金沢市立中村記念美術館

またまた出会ってしまいました、野々村仁清作品!

薄茶を入れる薄茶器はさまざまな素材でできているそうです。

この野々村仁清が手がけた薄茶器は、薄く成形された棗形の素地に、赤と緑と金彩を使い、菊、三、桐をそれぞれ7つずつ描いています。

野々村仁清は公家の間に茶の湯を広めた宗和流茶道の祖である金森宗和の指導のもと、典雅な茶陶の数々を製作したそうです。

菊水蒔絵大棗 江戸時代

金沢市立中村記念美術館

全体に水流と菊花の模様が描かれたとても豪華な棗。

この棗、内側も金一色の仕上がりになっているそうで、内も外も豪華な作品。

薩摩撫子文茶碗 明治時代

金沢市立中村記念美術館

淡黄色の素地に撫子の模様を鮮やかに描いた薩摩焼の茶碗。

透明釉をかけて焼いてあります。

金彩も使って華やかな絵付けになっています。

三種盤物

金沢市立中村記念美術館

組香と言って複数の香を聴き比べる際に使用するのだそう。

競馬香は赤と黒に分かれて、当てた香の数だけ馬を進め、青楓の枝を越えると勝ちなのだそう。

矢数香は京都・蓮華王院の大矢数(通矢)の行事を組香に移したもので、盤上の矢を進めるのだとか。

源平香は現在は行われていないそうで、その代わりに吉野の桜と竜田の紅葉を競わせる名所香というものが行われるのだそう。

奥深い香の世界!

澤瀉(おもだか)蒔絵沈香箱(じんこうばこ)

金沢市立中村記念美術館

涼しげな澤瀉の蒔絵の箱の中に、香木の細片を分けて納める小箱六合、懸子(かけご)と呼ばれる道具と香割道具を入れるのだそう。

説明を読んでいてもイマイチよくわからないですが、とにかく可愛い笑

草花蒔絵香箪笥

金沢市立中村記念美術館

こちらも香の道具でよくわからないのですが、とにかく可愛い!

挿枝(さしえだ)・挿枝袋

金沢市立中村記念美術館

こちらも香の会で使われ、持ち寄った名香を床の間に飾るのだそう。

薩摩色絵虫籠形香炉

金沢市立中村記念美術館

虫籠の形が可愛らしい!

薩摩焼の白い素地に数種の菊花を色絵で描いています。

縦方向の細い透かしぼりが繊細!

扇型梅の絵香合 江戸時代

金沢市立中村記念美術館

香合とは香を収納する蓋付きの小さな容器のこと。

色絵で梅を描いて金彩を施してあります。

扇の形が可愛い!

乙御前香合 江戸時代

金沢市立中村記念美術館

乙午前とはお多福のことだそうです。

可愛らしい顔や扇の着物も可愛い!

鶴香合 江戸から明治時代

金沢市立中村記念美術館

鶴のおめでたい香合。

鶴が可愛い!

七宝瑞果文壺形香炉

 

金沢市立中村記念美術館ハートのようなデザインも色も可愛い!

上にのせるメッシュの感じも素敵。

古清水牡丹唐草文香炉 江戸時代

金沢市立中村記念美術館

これも青とグリーンの色味が素敵!

これも蓋の部分がハートで可愛い。

まとめ

金沢市立中村記念美術館で開催の「小さな道具の世界」展。

今も昔も小さくて可愛いものに人はキュンキュンしてきたんだなー!

今見ても全然古臭くなくて、とても可愛くて素敵な小さい道具たち!

香の世界はわからないことだらけですが、ちょっと学んでみたい気がしてきました。

 

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