今まで来なくてごめんなさい!諸橋轍次記念館で思い知る偉業!
下田でアートサロンの日。同期生と再会&近況アップデート!
月に一度の下田アートサロンの日でした。
下田アートサロンとは、
三条市下田の地域おこし協力隊のKさん主催で月1の水曜日の10時半と14時の2回、
テレビ東京の番組・美の巨人たちのバックナンバーから1つをピックアップ、
みんなで鑑賞してアートに触れよう、というものです。
昨年の10月から2ヶ月間しただ塾に参加していた時から、このアートサロンにとても興味がありました。
下田塾についてはこちら:しただ塾での2ヶ月間、終了しました!
ただ平日ということもあり、時間的にも授業と重なって参加することはできずにいました。
しただ塾も終わりに近づいた頃、担当の方から何かやりたいことがありますか、と聞かれたので、すかさずアートサロンに参加したいと答えました。
その要望が通り、私たちのためにアートサロンを開催していただき、越後のミケランジェロ・石川雲蝶のバックナンバーを鑑賞させていただきました。
しただ塾閉講後も、このアートサロンを口実に同期生と下田で再会しています。
前回1月のテーマは横山大観でした。
ちょうど娘も新潟に来る時だったので、娘も一緒に参加させていただきました。
その話はこちら:永年勤続の旅行券で月岡温泉・白玉の湯 華鳳さんへ!
というわけで、今月もアートサロンに参加してきたのですが、その前に2つ、寄ろうと思ったところがありました。
その1つが下田にあるのに滞在中、行くことのなかった諸橋轍次(もろはしてつじ)記念館です。
下田には2ヶ月も滞在したのに、実は今回が行くのは初めて。
併設する道の駅・漢学の里しただには何回も通ったのに、今思えばとても勿体無いことをしたと反省しています。
雪の下田、諸橋轍次記念館に到着!
この日は新潟県内、朝から結構な雪が降っていました。
ここ下田も到着した時にはこの様子。
近くの名勝・八木が鼻をイメージしたという建物の玄関には
諸橋轍次の座右の銘「行不由徑(こうふゆけい)」の文字が刻まれています。
行不由徑は論語の言葉で、「行不由徑・行くに徑(こみち)に由(よ)らず」、
大道をまっすぐ進む。小道は近道に見え、変化の魅力を持つが、やがては行きづまるものである、
という意味だそうです。
中に入ると正面ロビーは天井の高い吹き抜けの大きなギャラリーになっていました。
ここを見るだけでも諸橋轍次の生い立ちから偉業までわかるほど
情報満載のロビーになっています。
この諸橋轍次の銅像の後ろの水墨画は、日中国交正常化40周年にあたり、
漢学による日中文化交流の先駆者であり、両国の交流に多大か貢献をした博士の偉業を讃え、
中華人民共和国駐新潟総領事館から寄贈されたそうです。
館内写真撮影OKと確認して展示室に入りました。
諸橋轍次とは
諸橋轍次は日本を代表する漢学者です。
代表的な功績は何と言っても大漢和辞典13巻の編纂で、世界的な偉業として称えられています。
ここ下田で明治16年に生まれました。
父親は“訓導さま”と周りから尊称されるほどの教育者だったそうです。
小さい頃から儒学を中心に中国伝来の学問・漢学の教養を身につけました。
4歳の頃からこの三字経を学んでいたそうです。
小学校卒業後は、奥畑米峰という人が下田で開いた私塾・静脩義塾で3年間漢学等を研鑽、その後新潟県新潟師範学校に進みます。
卒業後は東京の高等師範学校国語漢文科に進学。
東京高師卒業後、都内の大学教授を経て、戦後は都留文科大学学長に就任。
この間50余年にわたり儒学を研究、『大漢和辞典』編纂という偉業を成し遂げました。
一度は刊行した大漢和辞典の、全13巻の組版と資料が東京大空襲で消失する、という絶望的な出来事にも負けず、再び編纂に取り組むなどまさに行不由徑!
その不屈の姿勢には頭が下がります。
何という偉業!大漢和辞典をゼロから作るなんて!
大漢和辞典と聞いて思い出すのはあの重厚な、黒字に金色の背文字です。
その大漢和辞典を編纂、って聞くとあまりにサラッとしすぎていて、何かをまとめたのかな程度に思ってしまい、その偉業を気を留めなかった自分を反省しています。
経歴その他、いろいろすごいのですが、よくよく考えてみれば、編纂ってあの大漢和辞典をゼロから作ったってことです。
30年もかけて。まさに偉業!
そのことは多くの知識人が称賛しています。
あの金田一京助先生も「漢字世界、真に空前の偉業、まことに千古に輝く不魔の金字塔とたたえても逸美ではなかろう」と称えていらっしゃいます。
大漢和辞典とは!
諸外国の辞書にも例を見ない、最大級の言葉の辞典です。
親字5万字、熟語53万語という膨大な言葉が収載されています。
古今の辞書、詩経、論語、孟子、老荘などの文献から、唐宋の詩文、小説、歴史史書などあらゆる資料を参考にして収録してあります。
親父とは、漢和辞典で各部首ごとに画数順に配列されている見出しの漢字のことで、これをもとにこの字が含まれる熟語が配列されています。
現在は収録熟語を現代仮名づかいの五十音順に配列した『語彙索引』を別巻として追加、国語辞典と同じように五十音順の仮名見出しから直接熟語の検索ができるようになっています。
また平成12年4月には『補巻』を加えて修訂第二版全15巻が刊行されています。
以下、出版社である大修館書店さんのHPより大漢和辞典の8大特色です。
1 画期的な『語彙索引』
現代かなづかいで五十音順配列。新たに加わった別冊で、『大漢和辞典』を一層引きやすくなっています。
2 親字5万字
古代から現代にいたる中国歴代の辞書に確実な記載のある文字を最大限に採録してあります。
3 熟語53万語
詩経・論語・孟子・老子・荘子など先秦時代の古典から史記・漢書を始めとする歴史史書、文選、さらに唐・宋の詩文から明・清の小説にいたるまで、あらゆる時代の語彙を網羅。博捜した文献の範囲は、仏典・医書・本草学・法制・地誌・日本の漢詩文にも及びます。
4 篆文(てんぶん)1万字
『説文解字』の篆文(古代の字体)1万余種を掲げています。
5 図版2800枚
収録している図版はいずれも数十種類の原典から厳選して複製しています。
6 漢字文化圏共有の一大百科事典
漢字・漢語で表現される一般の言葉はもとより、文学・思想・歴史・宗教の用語や、動植物名・人名・書名・地名・帝号・年号などの項目を最大限に網羅しているので、漢字文化圏共有の百科事典として広範に利用できるようになっています。
7 本文は永久保存に耐える中性紙を使用
長期の保存に耐える中世紙を特別抄造しています。
8 斬新な装幀、手頃なB5判。
まとめ
2ヶ月も滞在していた下田にある諸橋轍次(もろはしてつじ)記念館に初めて行きました。
大漢和辞典の編纂が世界的な偉業であることを思い知らされました。
背文字の重厚さは知っていても、あまり身近ではなかった大漢和辞典がとても身近に感じられました。
漢字、熟語、もっと勉強しなきゃと痛感し、またゆっくり訪れたい素敵な記念館でした。