国立近代美術館、MOMATコレクション10室は「春まつり」!
鏑木清方のチケットでMOMATコレクションへ
GWの連休初日は念願の鏑木清方展へ行くことが出来ました。
その話はこちら:行方不明だった三部作、勢揃い!国立近代美術館の鏑木清方展へ!
この日は夕方の娘とのディナーまで時間に余裕があったので、
いつもは特別展を見た後、ざっとしか見られないコレクション展をじっくり見ることが出来ました。
中でもいつも一番時間がなくなってしまう10室の日本画をじっくりみようと思います。
コレクション展は4階の1室から5室、
3階の6室から10室、そして2階の11室と12室、とテーマ別に展示されています。
その10室が日本画に特化した展示となっています。
この日の10室は「春まつり」
この日の10室は、毎年恒例の「美術館の春まつり」です。
奥のスペースでは、川合玉堂《行く春》(重要文化財)、跡見玉枝《桜花図巻》、菊池芳文《小雨ふる吉野》などが一堂に会す「春まつり」。
《行く春》には長瀞の春の光景が描かれています。
水辺の桜が散りいそぐ風情は、美術館からほど近い千鳥ヶ淵とも通じ合うとか。
以下、説明文から抜粋です。
川合玉堂の描く風景画が平明かつ清新であるのは、 筆墨と色彩を融合した上に、自然な遠近表現を加味しているからだそうです。
長瀞 (埼玉県秩父郡)の光景を舞い散る桜とともに描いたこの作品でも、六曲一双の大画面全体を視野におさめることではじめて大きな空間がたちあらわれる画面を作りあげています。
一方、桜の散る光景はきわめて情緒に富みます。
玉堂は、 多くの日本人が自然のなかに見出す情緒や詩情を、近代的な視覚から見ても不自然さのない広がりのなかに、誰もが共感できるかたちに描き表しました。
全25図!圧巻の桜花図巻!
跡見玉枝の《桜花図巻》にはさまざまな種類の桜が描かれています。
全25図に40種類を超える希少な桜が描かれていて、それぞれがとても丁寧に可愛らしく春を告げています。
このなかには、しだれ桜、うこん桜、おおしま桜といった、当館から千鳥ヶ淵方面に向かう紀伊国坂に沿って、次々に開花時期を迎える桜たちも含まれているのだそうです。
着物に描かれた春も印象的でした。
こちらは木村雨山の作品。
友禅の訪問着・ばらの花。
こちらは鎌倉芳太郎の紺地印金朧型梅花文長着です。
下から上に立ちのぼるような立湧文様の上に、色とりどりの梅の花が散りばめられています。
複数の型紙を使って染める 「朧型」の手法で表された梅花の上から、金箔を接着する「印金」 の技法で簡略化された梅の枝がさらに描かれます。
一枚の布に文様が何層にも重ねられていますが、縦に連なる立湧と横に連なる梅花の規則 的なパターンと地色の青色が、華やかさのなかに洗練された印象を生み出しています。
作者は東京美術学校を卒業後、美術史研究者としての道に進み、琉球文化の研究から紅型の世界に魅せられたのだそう。
沖縄出身ではない自分が紅型を継承することの意味を問い続けた作者は、作家としては遅咲きで、第5回日本工芸展に入選した時にはすでに還暦を迎えるほどだったそうです。
剣持勇のラタン・スツールや清家清の移動式畳に腰かけて、作品のなかに広がる春をゆったりと楽しむことができる素敵な空間です。
まとめ
いつもは時間が足りずに急足になってしまう国立近代美術館のコレクション展。
この日はゆっくり、特に10室の日本画をじっくり見ることが出来ました。
個人的に特に圧巻だったのは全25図の桜花図巻。
美術館のショップでマスキングテープになっていたので思わず買ってしまいました。