勘九郎・七之助の春暁特別公演に着物でGO!
中村勘九郎と七之助の春暁特別公演2022、観てきました!
誘っていただき、中村勘九郎と七之助の春暁特別講演2022を観に新潟テルサに行ってきました。
当初3月6日から埼玉を皮切りに全国16カ所で公演予定だったこの公演、出演の勘九郎さんと七之助さんに新型コロナウイルス感染症の陽性反応が確認され、一部中止、延期になってしまいました。
その後無事回復され、3月12日の仙台公演から巡業公演がスタートし、その2日目の公演が新潟でした。
3月26日の福岡公演まで全国各地に巡業します。
この日の演目は勘九郎さん主演の「高坏(たかつき)」、勘九郎さん、七之助さんに中村鶴松さんが加わってのトークショー、七之助さん4役早替わりによる「隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)」の三部で構成されています。
先日、東京の国立博物館で歌舞伎の衣装を間近でみたばかり。
その話はこちら:伝統芸能展 第1章・歌舞伎 明治32年の動画や本物衣装に感動!
今回の衣装もとても楽しみです。
高坏(たかつき)
今回の配役は次郎冠者に中村勘九郎、大名某に中村小三郎、太郎冠者に中村仲侍、高足売りに中村鶴松です。
この演目は昭和8年(1933)、東京劇場で初演された演目だそうです。
作詞は久松一声、作曲は初世柏伊三郎。
六世尾上菊五郎の次郎冠者、七世坂東三津五郎の高足売り、という配役で上演されたとのこと。
作詞の久松一声氏は、創世期の宝塚少女歌劇のスタッフだったそうです。
六世尾上菊五郎と七世坂東三津五郎は舞踏の名手として知られていたそうで、数多くの「松羽目物(まつばめもの)」を共演しているそうです。
松羽目物とは、歌舞伎の舞踏のうち演出様式や舞台装置、衣装などを能楽の形式にならって演じるもののことを言います。
この演目の高坏は、六世尾上菊五郎が当時流行していたタップダンスに着目して発案された作品。
松羽目物の要素を基にしながら、満開の桜を描いた斬新で明るい背景で演出されています。
しばらく上演が途絶えていたそうですが、昭和27年(1952)に十七世中村勘三郎が復活させ、以来十八世中村勘三郎から今の勘九郎へと受け継がれ、中村屋の秀逸な演目となっているとのことです。
ストーリー
お話は、大名一行がお花見にやってきます。
盃を地面に置こうとする次郎冠者に、大名は盃を乗せる台(高坏)を買いに行くよう命じます。
次郎冠者は高槻が何かを知らないまま買い物に出かけ、途中で出会った高足売りに高坏だと騙されて高下駄を買わされてしまいます。
騙されたとは知らない次郎冠者は高下駄に盃を乗せて、高足売りと一緒に酒を酌み交わして酩酊、寝入ってしまうところに大名が返ってくる…というもの。
最後には呆れ果てた大名と太郎冠者も3人で踊り始めるのですが、その下駄でのタップダンスと酩酊の演技ぶりがとても楽しい作品でした。
個人的には太郎冠者の来ていた羽織(?)の背中の、大きな鴨の模様が可愛くて萌えでした。
大名も普通なら怒ってクビにしたりしそうなものですが、最後には呆れて一緒に踊る、というのがとてもいいですね。
トークショー
最初は七之助さんと鶴松さん、演技後の勘九郎さんが戻ってからは七之助さんが次の演目の準備に入って、勘九郎さんと鶴松さん、という流れのトークショーです。
中村鶴松さん
鶴松さんは平成7年3月15日生まれ、ちょうどこの公演日が誕生日で27歳になったところでした。
5歳の時から舞台に立っているので芸歴は22年、ってすごいですね。
前夜祭は新潟のどこかのお寿司屋さんでお祝いしてもらったとお話ししていました。
6月5日には浅草公会堂で自主公演の舞台を開催されるそうですが、チケットが完売したとおっしゃっていました。
七之助さん
気品があって遠目で見てもとても美しい!
観客からの質問も美しい容姿についてのものが多くありました。
役をすればするほど体型がどんどん変化して、もともと怒り型だったのがもうこれ以上なで肩になったら着る洋服がないと言われるほど、変化したのだそうです。
立ち姿も座り姿もスッとしていて、本当にかっこいいです。
このトークの後に演じる演目は、あらすじを知らないと理解しにくいとのことで、演目のストーリーを教えてくれました。
勘九郎さん
オミクロンは重症化しないと聞いていたが、結構症状が出て辛かったと話されていました。
高坏の陽気で楽しい酩酊の演技ぶりが秀逸だった勘九郎さん、ご本人も明るい性格が滲み出ていました。
観客からの質問でもNHK BSプレミアムで放送された「中村仲蔵 出世階段(なかむらなかぞう しゅっせのきざはし)」についてのものが多くありました。
私も見てみたくなりました。
隅田川千種濡事(すみだがわちぐさのぬれごと)
副題に「中村七之助四役早替わりにて相勤め申し候」とあります。
七之助が「許嫁(いいなづけ)お光」「油屋娘お染」「丁稚久松」「土手のお六」の四役を演じます。
猿回しの夫婦を夫・中村いてう、妻・澤村國久が演じます。
文化10年(1813)、四世鶴屋南北の演出で、「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」という演目が江戸の森田座で初演されました。
通称「お染の七役」と言われたこの演目、当時は早変わりが人気を得ていたそうで、初演を演じた五世岩井半四郎が「お染」「久松」「久松の許嫁・お光」「久松の姉の奥女中・竹川」「お染の母・貞昌」「子守・お作」「悪婆・土手のお六」の七役を演じて大好評を得たそうです。
宝永7年(1710)に大阪で実際に起きた「お染久松」の心中事件を題材に、名刀「牛王吉光」とその鑑定書(折紙)の紛失騒動などを絡ませた、人間のさまざまな欲望を描いたストーリーになっています。
お染久松の心中事件はすぐに話題になり、浄瑠璃や歌舞伎に取り入れられて多くの「お染久松物」が作られたそうです。
中でも人形浄瑠璃の「染模様妹背門松(そめもよういもせのかどまつ)」、「新版歌祭文(しんばんうたざいもん)」(野村崎)は今でも頻繁に上演されています。
ストーリー
丁稚の久松はお光という許嫁がありながら油屋の娘・お染といい仲になってしまいます。
精神的にダメージを受けたお光は久松を追い求めて街を彷徨い歩きます。
そこへ通りかかった猿回しの夫婦が笹の枝でお祓いをしてあげるなどお蜜を案じます。
一方先の見えない久松とお染は心中をはかろうと隅田川へ。
そこへ名刀の折紙を奪おうとするお六が現れて…
と、この四役が入れ替わり立ち替わり、七之助さんがあちこちに現れてまさにびっくり仰天な展開!
出だしのお光の妖艶なことと言ったら、この世のものとは思えません。
明るい黄緑色の着物と、ピンクの帯がこの配色がこんなにも合うんだと驚きでした。
猿回しの女房の縞の着物もかっこよかった!
今日の着物
この日のコーディネートはこちら。
還暦祝いに作った本塩沢の着物に、母の遺した龍村の赤い帯です。
これも母の遺した道行、初めて着ました。
まとめ
着物で歌舞伎鑑賞に行ってきました。
中村勘九郎さん主演の「高坏」、勘九郎さん、七之助さんに中村鶴松さんが加わってのトークショー、七之助さん4役早替わりによる「隅田川千種濡事」。
舞台には満開の桜の花で、衣装も綺麗!気分も明るくなりました。