新潟良いとこ何度もおいで♫ インフラツーリズム編1「にとこみえーる館」
インフラツーリズムをご存知ですか?
インフラとは?
インフラとは、インフラストラクチャー(infrastructure)を略したもので、もともとは「下部構造」という意味です。
これが転じて「産業や生活の基盤として整備される施設」として道路、鉄道、上下水道、港湾、ダムなどの「産業の基盤となる施設」を指します。
広くは「社会で共有する施設」として学校、病院、福祉施設など「生活の基盤となる施設」も含まれます。
インフラツーリズムとは?
インフラツーリズムとは、ダム、橋、港、歴史的な施設など、特徴あるインフラ施設や工事中の現場を観光資源として活用する取り組みのことを言います。
国土交通省でも専門サイトを構築して、インフラツーリズムの魅力倍増を図ってます。
インフラツーリズム魅力倍増プロジェクトのサイトはこちら:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/infratourism/
インフラツーリズムでは巨大な構造物の壮大な景観を楽しんだり、普段は入れないインフラ内部や今しか見られない工事風景など、日常ではすることのできない体験を味わうことができます。
またガイドの案内を聞いたり、展示物からそのインフラの役割と背景について学ぶことができたり、地域と連携した企画に参加することでインフラ施設周辺の観光資源を楽しむことができます。
新潟県にも多くの魅力インフラツーリズムのスポットがありますが、今回はその中から、大河津分水路改修事業「にとこみえーる館」に行ってきました。
大河津分水路改修事業「にとこみえーる館」は、現在令和の大改修中の大河津分水路の工事見学や防災について学べる施設です。
新潟市内から海岸沿いの402号線で寺泊方面へ
新潟市内から大河津分水路河口に向かうにはいくつかルートがありますが、お天気がよければ海岸線の402号線を寺泊方面に向かうのをオススメします。
途中、大きな奇岩、巨岩が視界をさえぎる壮大な景色や、佐渡を眺めることができるのもこのルートの魅力です。
片道1車線ずつの道路ですが、ところどころに車寄せがあり、海側の車道には歩道もついているので、歩いて海や奇岩を眺めることも可能です。
海岸道路をまっすぐ柏崎方面へ進むほか、途中弥彦スカイラインから弥彦山頂へ寄り道するのもおすすめです。
弥彦スカイラインとの分岐の少し先には「こめぐりの郷公園」という広々とした公園があります。
小高い丘から佐渡を眺めてお弁当や休憩、などに持ってつけの場所ですね。
そしてまたその少し先には海を眺めてお茶ができるカフェが出来ていました。
こめぐりの郷公園の手前を弥彦スカイライン方面に進み山頂を目指すと、道の左右に大きな駐車場があるところがあります。
弥彦山登山の中継地点でしょうか。
この日もトレッキング途中の女性たちがちょうど通りかかりました。
ここから山頂まではすぐです。
山頂にも大きな駐車場があり、パノラマタワーという360度景色が見渡せるタワーや、弥彦神社側(弥彦山の海とは反対側)と結ぶロープウェイの駅、その他軽食ができたり、お土産売り場があります。
中でもパノラマタワーからの景色は必見です。
円筒のシートがゆっくり回転しながら昇っていきます。
海側には大きな海と佐渡が、平野側には広がる田園光景と、ここでしか見ることのできない景色が楽しめます。
ここからまた海岸線に戻って寺泊方面へ直進します。
寺泊手前には大きな川(これが大河津分水路の河口です)があり、右折すると橋を渡って寺泊方面、直進すると弥彦神社方面に行くことができます。
ここは直進してください。
信号から100メートルくらいでしょうか、直進してすぐ左側に目指す「にとこみえーる館」があります。
あくまで工事中の様子を見せる仮の資料館(のはず)なので、1階が資料館、2階はオープンの屋上になっていて工事現場が見られるようになっている)こじんまりとしています。
「にとこみえーる館」、中に入ってみましょう!
そもそも「にとこ」って?
いきなり「にとこみえーる館」って言われても何のこっちゃですよね。
私もしばらく読み込まないとよくわかりませんでした。
今回の改修工事では川底の「床固(とこがため)」と言って川底が水流や水圧で掘削されないよう川底を固める工事が改修の重要部分の1つとなっています。
以前の床固にかわる新たな床固のことを「新第二床固(しんだいにとこがため)」というそうなのです。
その中の「にとこ」をとって「にとこみえーる館」です。
公式キャラクター「にとこちゃん」
さらには「にとこちゃん」という公式キャラクターまでいます。
またこの帽子がマニアック。
減勢工帽子、なんだそう。
減勢工はバッルフピアとも呼ばれる床固の突起のことで、この突起を床固本体の下流側に3列設けることで、洪水のエネルギーを弱める働きをするそうです。
めちゃくちゃマニアックな帽子ですね。
そしてにとこちゃんのタスキは大河津分水路そのものを表しています。
にとこちゃん、身長は60センチもあるのに体重は笹団子3個分と軽量です。
きっと減勢工の帽子は重たいに違いありません。がんばれ、にとこちゃん!
わかりやすい展示パネル
展示室の中央には床に円形に描かれた分水路の絵に合わせると説明やその様子が見られるタブレットが10個近く置いてあります。
その周りを囲むようにパネルが展示されていて、内容がとてもわかりやすく親切でした。
地元の小学生など見学に来るのでしょうね。
奥には映像が見られるようになっていて、12分程度の内容のビデオを2本、見せていただきました。
「にとこみえーる館」で学べること
にとこみえーる館への訪問でこんなことが学べます。
現状の分水路の問題点
何で今回このような大規模な改修が必要なのでしょうか。
今の大河津分水路は河口に向かって河幅が狭まる形状になってしまっています。
そのせいで洪水が起こると上流に向かって水位が上がりやすく、洪水を処理する能力が不足しています。
また分岐点から10キロと短い距離で大量の水量が流れるため、勾配が急になってしまい、川底が削られやすい形状になってしまっています。
近年の異常気象が多発する状況下で、実際令和元年の台風19号による洪水の際は、分水路の氾濫危険水位を超過するピークの水位を記録しました。
大改修のポイント
そのような背景から今回の大改修のポイントは4つあります。
- 新第二床固
経年劣化と掘削により弱ってしまった川底を補修します。
これに用いられているケーソン(川底のベースとなる巨大柵?)の曳航や据え付けがとてもダイナミックで必見です。
- 山地部掘削
河口部の山地部を掘削し、川幅を広げます。
そうすることで洪水時の水位を下げ、堤防の決壊を防ぎます。
- 野積橋の架け替え
川幅を広げるのに伴い、河口の野積橋を架け替えます。
海側には歩道を設け、景色を楽しみながら渡れるようになります。
- 自然への配慮
鮭や鮎が川と海を行き来できるよう、新第二床固に魚道を作ります。
こんなのもらっちゃいました!
- 大河津分水のパンフレット(P24)
- 橋カード(橋ではないけど)
- 県央土木地図 インフラツーリズムマップ
まとめ
「にとこみえーる館」、コンパクトながらとてもわかりやすい展示と動画でとても楽しめました&勉強になりました。
普段、当たり前に過ごしがちですが、こういった想像も超える壮大なプロジェクトに支えられたインフラ施設によって私たちの生活が守られていることを実感できます。
近隣の弥彦神社や弥彦山頂のパノラマタワー、そして寺泊の魚市場などへの観光と組み合わせてぜひ覗いてみてください。
分岐点の「大河津分水路資料館」もおすすめです。
こちらも近々ご紹介したいと思います。