シーボルト、出島に着任!鳴滝塾、その残した偉業!
さながら「日本研究所」!出島でのシーボルト
FDA新潟―神戸便就航を記念して、新潟から神戸経由で長崎に行ってきました。
今回初めて訪れたシーボルト記念館。
シーボルトについて初めて知ることが多く、全てを書ききれませんでした。
その話はこちら:初めて知る史実の数々!シーボルト記念館が素晴らしい!
今日はその続きから。
1823年(文政6)8月、シーボルトは出島に着任します。
着任後は診療活動の傍ら、早速日本研究に着手しました。
しかし出島から許可なく外出することがままなりません。
そこでシーボルトは、調査を行うための方策を考えます。
最も有効な方法が、日本人に診察をすることと、日本人に医学を教育することでした。
シーボルトが来日した頃、すでに出島に出入りし出島商館に勤務する西洋人医師から医学を学ぶことは始まっていました。
シーボルトの前任の医師に付いて医学を学んでいた日本人医師たちを手始めに、出島で講義を始めます。
また長崎奉行の許可を得て、長崎市中の蘭学塾に出向き、日本人の診療も開始しました。
このことにより、シーボルトは自らの日本研究を補助する門人やオランダ通詞たちを得ることができました。
日本語のできないシーボルトにとって、この人たちの協力は絶大です。
さらにシーボルトを派遣したオランダ領東インド政庁からは財政支援ばかりではなく、人的な支援も得ることができたといいます。
そこでシーボルトは来日の2年後、研究助手として薬剤師であるハインリッヒ・ビュルガーを、
そして学術的な絵画を描かせるためにC. H.フィレネーフェをバタヴィ アから招聘しています。
このほかにも出島商館員数名がシーボルトの日本観察に協力し、出島はさながら「日本研究所」のようになったそうです。
「鳴滝塾」の開設!
来日した翌年、シーボルトは長崎奉行所の許可を得て長崎の近郊鳴滝に学塾を開設しています。
今のシーボルト記念館のあるところです。
この鳴滝で、多くの日本人たちに定期的に講義を行う機会を得ました。
これが「鳴滝塾」と呼ばれる学校で、西洋人が日本で開設した初めての私的な教育施設です。
当時の史料に「鳴滝塾」という固有名詞は現れないそうなので、このような名前は付けられていなかったようです。
が、門人の高野長英が「シーボルト阿蘭陀塾」と呼ぶ、れっきとした学塾でした。
建物はもともと諏訪神社の宮司、青木家の別荘だったそうですが、阿蘭陀通詞の中山作三郎からシーボルトが入手したそうです。
家の敷地にはバタヴィアに輸出するために日本各地から集められた植物が植えられていたといいます。
シーボルトはここに週数回通い、門人たちに医学ばかりでなく西洋科学全般の講義を行ったそう。
ミュンヘンの五大陸博物館(旧ミュンヘ ン国立民族学博物館)で、このとき塾舎として使用されていた別荘の精巧な模型が発見されているそうです。
鳴滝塾とは
鳴滝塾の実態を記した史料は残念ながらほとんど残されていないそうです。
わずかに長崎に遊学し、鳴滝に学んだ門人の日記や書き残した書物、書簡の記述で知ることができるのみとのこと。
シーボルト自身も鳴滝塾について多くを語っていないようですが、書簡などの記述からシーボルトが何を目的に開設したかを知る手がかりを得ることができるそうです。
当時ベルリン大学医学部教授だった叔父アダム・エリアス・フォ ン・シーボルト宛ての手紙で「今、鳴滝という長崎郊外の谷間から、日本中に科学の光が差し始めている」と 書き送っています。
ドイツにあるルール大学ボッフムには40点余りの日本人が提出した論文が保存されているそうです。
そのいくつかにはシーボルトの筆跡で訂正が加えられているとか。
シーボルトは門人たちに学術論文の書き方を教えていたのです。
これ以外にもシーボルトは門人たちに特定のテーマを与え、調査や観察方法、器具の使い方などについても教えています。
シーボルト自らがヴュルツブルク大学で学んだ観察や実証実験に基づく科学的な手法を伝授していたのです。
科学の普遍的な価値は、シーボルトのもとで学んだ日本人門下生に確実に受け継がれ、明治以降の日本の近代化の礎となっています。
シーボルトはこの家にそんな門人たちを住まわせて、自分の日本研究の手伝いをしてもらいました。
そんな人たちには、医学を勉強した証明書をあげたり、医学の本や器具などを与えています。
また、シーボルトも日本人から日本のことをいろいろと教えてもらいました。
鳴滝塾の門下生の高野長英、二宮敬作、戸塚静海、伊東玄朴などについても次回調べたいと思います。つづく
まとめ
正直、西洋医学を日本に伝えた人、というだけの知識しかなかったシーボルト。
日本の医学や科学にこれほどまでの影響を与えた人物だと知り、改めてその偉業に驚くばかりです。
長崎に行ったらぜひ訪れてほしい場所、シーボルト記念館。必見です。
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