国宝級⁉衝撃の野々村仁清コレクション!百河豚(いっぷく)美術館
親不知(おやしらず)からわずか20分でお隣・富山県へ
あんこう鍋が食べたくて出かけた小旅行。
あんこうのみならず、カマスやメギス、メタガレイにつぶ貝などなど全てが美味しくて
大満足の親不知観光ホテルでした。
その話はこちら:あんこう鍋を目指して糸魚川(いといがわ)へGO!
翌朝はハラハラの雪が舞い散るお天気でした。
チェックアウトの時、宿のご主人に昨日行った谷村美術館がとても良かったという話をしたら、
この親不知から隣の富山県朝日町に「百に河豚と書く面白い美術館がありますよ」と教えてくれました。
隣の富山県朝日町?遠いのかと思ってどの位かかるのか聞いたら、20分ほどだそう。
20分で富山県に行けてしまうなんて知らなかったので、だったら行ってみよう!と思いました。
ホテルの目の前は国道8号線が走っています。
これをひたすら西にまっすぐ進み、高速道路が見えてきたら左折して高速道路をくぐるのだそう。
近くに行けば美術館の標識も出ていたので簡単に行くことができました。
国道8号線の「たら汁街道」がすごい!
その途中、国道8号線を走っていて印象的だったのは、
国道沿いに「たら汁」の看板を掲げるお店がたくさん並んでいることでした。。
朝食を食べたばかりで入りませんでしたが、かなりの数の、しかも駐車場大きめなお店も多く並んでいます。
まるでたら汁街道!と勝手に命名して感動していたのですが、
帰って来てから調べたら実際に「たら汁街道」と呼ばれているようです。
トラックドライバーに多く利用されているので駐車場も大きいということでした。
わー!いつか絶対入ってみたい!っていうか無理矢理食べればよかった!ちょっと後悔しています涙
たら汁は大好きで山形の酒田の寒鱈まつりには何回か行っています。
その話はこちら:日本全県制覇2周目 16県目は山形の旅(2017年1月)
寒い中で食べる熱々の鱈汁は本当に最高!
残念ながら今年は開催が中止されているようです。https://www.nihon-kankou.or.jp/yamagata/062049/detail/06204ba2212053990
考えてみれば、あんこうと鱈って何か似てます。
皮のプルプルした感じとか、白身の感じ。肝の美味しいところ。
骨の感じも何となく似てます。そしてお鍋にして美味しい。
あんこうが取れるところで鱈も取れるのでしょうか。
ここだけ目指してまた行ってみたい気がして来ました、たら汁が食べられる季節のうちに。
雪の中に現れた百河童美術館
雪の中に美術館らしき建物が見えて来ました。
周りは雪で覆われた田んぼ、そしてその向こうに北陸新幹線の線路が見えています。
雪の積もった駐車場に車を停めて入り口を目指します。
ここから入るようです。
ここには人はいなくて、あの橋を渡った建物に行ってみることにしました。
仏像が立っているのでここも仏像系の美術館なのでしょうか?
朝、宿のご主人に初めて聞いてそのまま来ているので、
全くこの美術館に関する知識がありません。
中に入ってみました。扉のすぐ左側に受付があり、700円を払って小さなリーフレットをもらいました。
館内は写真撮影ができないのですが、1階はガラス張りで外の池が見えるようになっています。
建物の右半分が展示スペースになっていて、左半分に受付とカフェがありました。
1階の展示は仏像からおたふく人形まで、幅広いコレクションがガラスケースに収められています。
百河豚美術館はこちら:https://kurobe.mypl.net/shop/00000302777/
百河豚美術館とは?
百河豚美術館は、大阪のふぐ料理の老舗「太政(ふとまさ)」の創立者である青柳政二氏が
出身地である富山に自らの寄付で昭和58年に開館した私立の美術館で、
氏が長年にわたり収集した日本や東洋の古美術品を展示しています。
「百河豚(いっぷく)」という珍しい館名は、河豚を愛した氏の号(本名の他に用いる名前)で、
心のやすらぎの一服(いっぷく)という意味も込められているそうです。
「素晴らしい美術と美しい自然の調和」という氏の理念で設計され、
この日は見えませんでしたが、後方にそびえる北アルプスの山々、緑の田園と調和し、
静かで落ち着いた雰囲気の中で美術鑑賞ができるようにとの思いでこの地に立てたれたそうです。
1階に展示してあるコレクションの幅広さに、氏の美に対する興味の広さが伺えました。
驚愕の国宝級のコレクション!2階展示室
2階に上がってみました。
階段の途中の踊り場に大きな曼荼羅図が飾られています。しかも平安時代のもの!
国立博物館にあってもよさそうな美術品にまず驚きました。
さらに驚いたのは2階の展示室です。
歌川広重の名所江戸百景が何点もさりげなく飾られています。
その横には上村松園の美人画が。
その隣には若冲の絵が。
他にも酒井抱一の掛け軸や、空海筆の掛け軸、本阿弥光悦の茶壷、
平安時代の不動明王図、室町時代の涅槃図と涅槃像、
江戸時代の水滴のコレクションは膨大で、その種類も鴨、朝顔、瓢箪、虎、人魚や釣鐘など形もユニークなものばかり。
などなど目を疑いたくなるようなお宝の作品が惜しげもなく次々と飾られています。
驚きに次ぐ驚きの中に、散りばめられたさらなる驚きがありました。
中でも野々村仁清のコレクションが素晴らしい!!
それは野々村仁清(ののむらにんせい)の作品です。
数々の素晴らしい作品の合間、合間に点在するように
壺、皿、火鉢などさまざまな作品がこれまた惜しげもなく展示されています。
野々村仁清は江戸時代前期の陶工で、京焼の色絵陶器を完成させた人物として知られています。
通称は清右衛門で、京都の丹波・野々村の生まれで、若い頃は粟田口や瀬戸で修行をしたのち
京都に戻り仁和寺の門前で釜を開い、仁和寺の仁と清右衛門の清で仁清を号としたそうです。
仁清の作品の中には国宝となっているものもあります。
1つは石川県立美術館蔵の色絵雉香炉、
もう1つはMOA美術館蔵の色絵藤花図茶壷。
その他、重要文化財となっているものも多数ある中、この美術館にこのコレクション!
それらを一緒に見られるなんて夢のようなコレクションです。
以下のような野々村仁清のコレクションが展示されていました。
香炉、葡萄棚、牛車、雪松図火鉢、扇面絵色絵飾り壺、鳳凰図沈香壺、
そして源氏物語絵手付き皿が1月から12月まで12枚。
1月は松と鶴、2月は梅、3月は桃、4月は桜、5月は藤、6月は朝顔、
7月は牡丹、8月は月、9月は菊、10月は紅葉、11月は柳、そして12月は桐に鳳凰が描かれています。
正直今まで陶器の美術品にそこまで興味があったわけではありませんが、
最初に見た色彩豊かな壺がとても素敵でいいなぁ、と思ったら、
さらに次の壺も素晴らしい、あれ?これも同じ人の作品!
あれ?これも?…という連鎖が続いて、見れば見るほどその素晴らしさに惹かれていきました。
そして一気に野々村仁清が私の中で「IN」な人になってしまいました。
本当に素晴らしいコレクションで、今でもまたすぐ見にいきたいと思うほどです。
まとめ
またしてもアートのわらしべ長者現象を体験してしまいました。
何気に話した谷村美術館が素晴らしかった話。
そこから教えてもらった百河豚美術館。
その名前のユニークさと20分で行ける隣の富山県、というのに惹かれて行ってみたら
国宝・重要文化財級のお宝コレクションの美術館でした。
ここでの野々村仁清との衝撃の出会いはまさに人生の宝物!
たら汁街道とこの美術館目的の小旅行をまた考えたいと思います。