皇太子を迎えるために作られた!素敵な洋館・仁風閣(じんぷうかく)
鳥取さんぽで見つけた素敵な洋館・仁風閣
鳥取旅の目的・鳥取民藝美術館見学を終えた後、市街地マップを片手に鳥取さんぽに出かけました。
鳥取民藝美術館はこちら:民藝の世界に浸れる素敵な空間!鳥取民藝美術館
お堀の中の素敵な立地にある鳥取県立博物館で鳥取を学んだ後、
その様子はこちら:お堀に囲まれた素敵な立地!鳥取県立博物館へ
すぐ近くにある「仁風閣」とうい西洋風のお屋敷に入ってみることにしました。
何せなんの知識も持たずに来ているので、こんなところにこんな洋館があるのも知りませんでした。
「じんぷうかく」と読むそうです。
仁風閣とは
鳥取県立博物館で、1617年(元和3年)に姫路城主の池田光政が
因幡と伯耆を合わせた32万石の鳥取城主として転封したことを知りました。
鳥取市はこの鳥取藩主・池田家の居城であった久松山(海抜263メートル)を中心に発展しました。
のちの大正天皇である皇太子を迎えるために作られた!
その鳥取城址に建っているこの仁風閣は、1907年(明治40年)、
池田仲博公爵が時の皇太子(のちの大正天皇)の山陰行啓に際し、その宿舎として建てた本格的な洋風木造建築で、
今では重要文化財に指定されています。
池田仲博公爵は徳川慶喜の5男で、1877年(明治10年)生まれ。
旧鳥取藩池田家の14代目に当たる人物です。
設計を担当したのは、イギリス人建築家・コンドルの直弟子である工学博士の片山東熊博士。
片山博士は赤坂離宮、京都の国立博物館など数多くの有名建築を設計していて、宮廷建築の第一人者だそうです。
皇太子殿下行啓後、仁風閣は市や県が管理・使用していましたが、
1967年(昭和42年)仲博氏の次男・池田徳真しから正式に鳥取県に寄付されました。
1973年(昭和48年)には鳥取市に譲与され、国の重要文化財に指定されています。
フレンチ・ルネッサンス様式の白亜の木造瓦葺き2階建て
フレンチ・ルネッサンス様式の白亜の木造瓦葺き2階建てのこちらのお屋敷、
正面の特徴的な櫛形の破風はセグメンタルペディメントというそうです。
瓦屋根にはルネッサンス様式の王冠型の棟飾り、6つの煙突、円形の換気窓が取り入れられています。
中に入ると高い天井、白い壁のエントランスが受付になっていて、
靴は脱いで、この左側にある下駄箱にしまいます。
天井のライトの装飾も素敵です。
受付から左回りに展示室を回っていきます。
皇太子奉迎にあたり、県下で初めて電灯が灯された!
最初のプロローグの部屋です。
このライトも
壁紙もハートの形のモチーフがとても可愛らしい。
暖炉の上の鏡の装飾や
暖炉の装飾にも細かな工夫があって素敵です。
皇太子の奉迎にあたり、この仁風閣で鳥取県下で初めて電灯が灯されたのだそうです。
また山陰線の建設も急ピッチで進められたとか。
皇太子の行幸が近代化への大きな力となったというのが驚きです。
カーテンボックスの和洋折衷の技術!
カーテンレールにも素敵な細工がしてあります。
またこちらのカーテンボックスもカーテンがドレープ状に2重になっていてとても優雅です。
この壁紙も華やかさの中に落ち着きがあって素敵です。
支柱のない螺旋階段!
使用は禁止になっていますが、この螺旋階段がとても素敵でした。
この階段には支柱がありません。
「ささらげた」と呼ばれる階段の板を支える脇板が支柱の代わりをしているそうです。
この「ささらげた」は削ったケヤキの厚板を6枚つないで作られているとか。
とても珍しいものだそうです。
階段の手すりも可愛らしい。
2階への階段はこちらから
2階へはこの階段から昇っていきます。
この階段の踊り場の手すりも素敵でした。
上から見るとこのようになっているのですが、
高いところにある大きな窓も、ランプも、
そして踊り場の足元の窓がとても素敵です。
「仁風閣」命名は東郷平八郎!
階段を昇ったところに大きな額が飾ってあります。
この額は、1907年(明治40年)の皇太子殿下山陰行啓にお供をし、
またこの建物を「仁風閣」と命名した東郷平八郎大将によって書かれたものだそうです。
東郷平八郎は明治・大正時代の海軍軍人で、薩摩藩出身の元帥です。
幕末の薩英戦争に参加し、明治維新後は海軍に入りました。
日清戦争では軍艦・浪速の艦長として出撃、日露戦争では連合艦隊司令長官として海軍を指揮。
日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を撃滅して勝利をおさめ、国民的英雄となった人物です。
最も豪華な部屋・御座所!
この部屋がこの建物で一番豪華なしつらえになっているそうです。
中には入れないのですが、見えている寝椅子・座椅子は漆塗りで、
菊の花の蒔絵仕上げになっています。
その隣には寝室がありました。
8角形の天井ランプが素敵です。
こちらはビロード張りのお手洗い!
お手洗いまで展示しているのはちょっとびっくりでしたが、
木製の箱型のお手洗いです。
便座にはビロードが張ってあり、箱の内側が引き出しになっていて砂を入れて使用したそう。
2階の中央には大きな広間がありました。
広間の窓側は明るく大きなバルコニーになっています。
このバルコニーのランプも素敵です。
こちらは食堂に使われた部屋。
絨毯も可愛らしい。
廊下の天井にも模様が付されていて素敵です。
鳥取城の御城印はここでもらえます!
鳥取城の御城印はこの仁風閣でもらうことができます。
また日本100名城のスタンプもこちらで押すことができました。
スタンプ帳を忘れたので、切り貼りです。
まとめ
鳥取城址に建つ仁風閣は、のちの大正天皇の皇太子を鳥取に迎えるために建てられた本格的西洋建築。
随所に素敵なデザインが施されたとても素敵な空間でした。
初めて鳥取に電灯が灯ったのもこの行啓の時だったとか。
当時の皇族の行幸が地方に文化をもたらしていく様に驚きました。